2004年12月08日

6 初芝清

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初芝清
千葉ロッテマリーンズ 6
内野手 38歳 右投右打
181センチ 95キロ
率0.282本6点21試61
<率0.265本231点873試1698>



ホームランは野球の華、よく言われる言葉だ。

起死回生の逆転ホームラン。劇的なサヨナラホームラン。ピッチャーが呆然と見送る場外ホームラン。
一口にホームランといっても様々な種類がある。それは今まで多くの選手が記憶に残るホームランを放ってきた証拠だろう。
確かにホームランを打つ選手は多い。しかし、数あるホームランのうち、爆笑ホームランを打てる選手は世界広しと言えどただ一人。
初芝清しかいない。

初芝清 38歳 千葉ロッテマリーンズ所属。

一見ちょっと太ったおっさん選手である初芝が、何故こうもファンの心をつかんで離さないのだろう。
私もそうだ。あの日球場で見た初芝の一発と、その直後スタンドにわきあがった大爆笑を、私は忘れることが出来ない。

2003年5月9日、千葉マリンスタジアム。
西武戦にもかかわらず、平日の肌寒いナイターであるせいか観客はまばら。
極度の不振から開幕早々2軍落ちした初芝は5月5日にようやく復帰、この日が復帰後初スタメンである。
この日までまだヒットなし。しかし初芝は打った。
4回の裏、迎えた第二打席で決勝打となる勝ち越しツーランホームランを放ったのだ。

その直後、スタジアムを包んだのは歓声ではなく、なぜか爆笑だった。

うおおっ!初芝が打った!打っちゃったよおい!ホームランだっはっはっ!

私は涙が出るほど爆笑しながら、なんだかとても幸せな気分になったのを覚えている。

この話には後日談がある。

今季初安打が決勝ホームランとなりこれで調子を上げるかと思われた矢先の5月14日。
試合前の練習中、初芝は球拾いをかねて守備練習をしていた。
ここで不幸が起こる。横っ飛びキャッチに失敗して寝そべりながら悔しがっていた初芝の右ひじに運悪く打球が直撃してしまったのだ。
一部始終を見ていた山本監督は「アホ! 早く立てばよかったものを」とあきれはててしまった。哀れ初芝。せっかく1軍に復帰しながら、こんな理由であっさり二軍落ちとなってしまったのである。

あのホームランで浮上のきっかけを掴み即大活躍、とすんなり行かないのが初芝の初芝たるゆえんであろう。その後なんだかんだで1軍に復帰した初芝は代打の切り札として活躍し、代打で7打席連続安打と言う日本タイ記録を打ち立てることになるのだが、それはまた別の話。

幸運にしてこの一発を目撃した私は、この日を境に初芝ファンから初芝原理主義者となった。今ではこうしてブログをはじめ、初芝師のすばらしさを啓蒙して回る日々をすごしている。しかしこんな私にとっても、何故初芝の一発を目の当たりにして爆笑してしまったのかを言葉で説明するのは難しい。やはり実際に見て、理解してもらうしかないのかなと思う。

初芝を知らない野球ファンのあなたにお願いがある。
どうか、一度マリンスタジアムに足を運んでみてほしい。運がよければ初芝の雄姿を拝めるかもしれない。
初芝のメガネが光る時。それは初芝が織り成すファンタジーの扉が開く時だ。
決して見逃してはいけない。次の瞬間・・・

鈍足を飛ばして3塁打を放ち、サードベース上で胸を張る初芝がいるかもしれない。
あるいは、ホームランを放ちダイヤモンドを一周する初芝がいるかもしれない。
守備につく初芝を目撃できたらさらに運がいい。
体に似合わず俊敏な打球処理が拝めるかもしれないし、惚れ惚れするようなトンネルが見られるかもしれない。
また、初芝がファウルフライを追ってあさっての方角に走り出し、「初芝そっちじゃない!左左!」とヤジが飛ぶ。そして落球。そんな瞬間かもしれない。

併殺打を放ち、うなだれる初芝を見ることもある。残念ながら、そっちのほうが多い。
そんな初芝を、あなたはどう思うだろうか。
「使えねぇ」と吐き捨てるだろうか。
「なんだやっぱり初芝だよ。しょうがないなあ」とどこかうれしそうに愚痴をこぼすのだろうか。
もし後者なら、あなたはもう立派な初芝ファンだ。普通の野球ファンには戻れない。あきらめて初芝と、千葉ロッテマリーンズを応援しよう。


posted by しけたろう at 13:40| Comment(0) | TrackBack(0) | みんなの選手名鑑 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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